【ワシントン=川合智之】米国家情報長官室は20日、2001年の米同時テロの首謀者ウサマ・ビンラディン容疑者を11年5月に米特殊部隊が殺害した際に押収した手紙や蔵書などの資料を公表した。資料は政府機関の審査を経たうえで機密解除された。
容疑者は手紙で、イエメンを拠点とする武装組織「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」に対し、イエメン政府と停戦交渉して米国との戦いに集中するよう指摘。米国との戦いへの強いこだわりを示した。米国大使館などへの攻撃計画を示唆する文書もあった。11年9月の米同時テロ10年に向けて声明を出す準備も進めていた。
一方、妻にあてた手紙では、娘の教育について「悪い仲間に注意するように」と心配したり、結婚相手は「聖戦士がいい」と助言したりするなど、家族を気遣う一面もうかがえる。
アルカイダへの加盟希望者に対する質問表もあった。前職や趣味などの一般的な質問のほか「自爆テロを希望するか」「殉教者となった場合の連絡先は」「化学や通信などの専門知識、勤務経験はあるか」といった項目が並んでいる。
蔵書ではオバマ米大統領について描いたボブ・ウッドワード氏の「オバマの戦争」など、米国・国際政治などに関する英語書籍39冊を保有していた。米同時テロを「米の内部犯行」と主張する書籍もあった。