財務省が1日発表した1~3月期の法人企業統計によると、全産業(資本金1千万円以上、金融機関を除く)の設備投資額は前年同期に比べ7.3%増え、13兆1294億円となった。前年を上回るのは8四半期連続。輸送用機械や電気機械で生産能力を増強する投資が増えた。経常利益は過去2番目の高水準となり、財務省は「景気の緩やかな回復基調が続いている」との見方を示した。
設備投資は製造業が6.4%、非製造業が7.8%それぞれ増えた。輸送用機械は新型車向けの投資が多かった。電気機械も工場の生産を自動化するシステムや、自動車関連の投資があった。
非製造業では物流センターの建設があった卸売業が押し上げ要因となった。サービス業でも、ホテルの改修があった宿泊業や、テーマパークの関連施設など娯楽業で投資が増えた。
季節要因をならした設備投資(ソフトウエアを除く)は前期に比べ全体で5.8%増えた。伸び率は11年10~12月期以来の大きさとなった。
売上高は前年同期比で0.5%減の343兆5978億円と、7四半期ぶりに減少した。前年に消費増税前の駆け込み需要があった反動で、食料品などが落ち込んだ。原油価格の下落を背景に、石油・石炭業も減収となった。
輸送用機械や電機、情報通信機械は増収を維持した。円安の追い風を受けて北米向けの自動車輸出が好調だったが、国内は駆け込みの反動減が響き、全体では伸び悩んだ。
経常利益は0.4%増え17兆5321億円だった。増益率は昨年10~12月期の11.6%から縮小したものの、13期連続で増益となった。利益水準は過去最高だった昨年10~12月期に次ぐ高さだった。鉄道の旅客やトラック輸送が堅調だった運輸業など非製造業が1.2%増益となった一方、製造業は1.3%の減益だった。金属製品が住宅向けで前年の反動が出たほか、化学は後発医薬品が浸透し減益となった。
法人企業統計の設備投資は内閣府が8日に発表する1~3月期の国内総生産(GDP)改定値に反映する。GDP速報値は実質で前期比年率2.4%増。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「製造業、非製造業ともに設備投資が予想以上に強い結果で、GDP改定値は上方修正の可能性がある」と話している。