【北京=共同】「船が傾き続けるなか、救命胴衣をつかんだまま流された」。中国・長江で転覆した客船から脱出して助かった上海市の旅行会社の男性スタッフ、張輝さん(43)が、岸に流れ着くまでの恐怖の約10時間を証言した。新華社電が2日、伝えた。
張さんによると、1日午後9時(日本時間同10時)すぎ、突然風雨が強くなり、雷が響いた。雨は船の右側に降り込み、多くの船室に水が流入。午後9時20分ごろに船は大きく傾き、「大変なことになった」と同僚に告げた瞬間、転覆した。
同僚と救命胴衣をつかんだ時、窓は頭上にあった。船は傾き続け、胴衣をつかんで流されるしかなかった。最初は同じように水面に浮かんでいる人がいて、助けを求める声も。大きな波を4回かぶり、そのたびにたくさんの水を飲んだ。
空が明るくなると岸が見え、懸命に岸に向かった。川底の石に足が触れ、幻覚かと思った。はって岸に上がったが、立ち上がる気力もなかった。