【ハノイ=共同】ベトナム南部ホーチミンに住む廃品回収業の女性が、買い取った廃品のスピーカーの中から日本の一万円札500枚以上を発見した。もともとの持ち主が確認できなかったため、女性は8日までに全額を受け取った。ベトナム国営各紙が伝えた。
各紙によると、フイン・ティ・アイン・ホンさん(36)は2013年、使わなくなった木製のスピーカーを10万ドン(約570円)で買った。金属を取り出すためスピーカーを壊したところ、中から大量の一万円札が出てきたという。
話を聞きつけた近隣住民らが「金は自分のものだ」と主張し家に押しかけたため、ホンさんは警察に届け出た。警察は紙幣を預かり、昨年4月、持ち主に1年以内に名乗り出るよう呼び掛けた。
今年になってあるベトナム人女性が「金は南アフリカ人の夫のものだ」と届け出たが、警察は調査の結果「証明できない」と判断した。最終的に全ての紙幣が「所有者なし」と認定され、今月2日、ホンさんに引き渡された。
ベトナムでは平均的な工場労働者の月給が約2万円という。ホンさんはその日のうちに、汚れがひどい紙幣を除いた400万円を現地通貨に両替した。地元メディアに「一部は孤児やホームレスのために使う。今後も廃品回収の仕事は続けるつもり」と話した。