大阪市の入れ墨調査を巡る訴訟の取り下げを拒み、配置換えされたとして、市交通局の男性職員が転任命令の取り消しなどを求めた訴訟の控訴審判決が18日、大阪高裁であった。森宏司裁判長は「転任命令は裁判を受ける権利を侵害するもので裁量権の逸脱・乱用」として市に命令の取り消しと慰謝料など110万円の支払いを命じた一審・大阪地裁判決を支持し、市の控訴を棄却した。
訴えていたのは市交通局の元市バス運転手、安田匡さん(57)。2012年に大阪市の職員に対する入れ墨調査を拒否して戒告処分を受けた。処分の取り消しを求めた訴訟では一審・大阪地裁で勝訴し、現在、高裁で控訴審が継続中。
判決などによると、安田さんは市側からこの訴訟の取り下げを要求されたが拒否。直後に転任命令で運転業務から外された。
市側は命令の目的について「訴訟の心理的影響が市民や利用者の安全確保に支障を与える可能性がある」などと主張したが、森裁判長は「(安田さんが)訴訟の取り下げに応じないことへの対抗措置。精神的苦痛は大きい」と認定した。