【ベルリン=赤川省吾】英国のエリザベス女王は24日、訪問先のドイツで「欧州の亀裂は危険だ」と発言した。キャメロン英首相やメルケル独首相、ガウク独大統領が出席した夕食会でのスピーチで言及。英国でくすぶる欧州連合(EU)からの離脱論をけん制したと受け止められている。
英国の動きは異例ずくめだった。まずキャメロン首相が女王と同じ時期に同じ場所を訪れた。そしてガウク独大統領が主催する晩さん会の席上で英女王の想定外の政治発言が飛び出した。偶然だとは言い切れない。
訪独したキャメロン首相はメルケル首相と会談し、EUを改革する必要を訴えていた。25日に開幕するEU首脳会議に先立って独政府と事前調整する狙いがあったと独メディアは伝える。
その後に漏れた女王発言。ガウク大統領は「英国は欧州の一部で、EUは英国を必要としている」と応じた。
英政府はEUから離脱するかどうか2017年までに国民投票で決めることを打ち出したが、EUに残留したいというのがキャメロン氏の本音。女王と独政府の援護射撃を受けた形になった。
英国王室の源流はドイツ系だが、エリザベス女王は65年に初めてドイツを訪れた。今回の訪独は7度目となる。