世界の金融市場の動揺が収まらない。24日の日経平均株価は中国景気減速への不安から前週末比895円(4.6%)安と2年3カ月ぶりの下げ幅となった。安全資産とされる円が一時1ドル=116円台と7カ月ぶりの円高水準まで買われた。上海株は8%安と急落。米国株の下げ幅は一時1000ドル(7%)を超えた。市場では中国政府の対応力への疑念が強まっている。
「人民元の切り下げは通貨の秩序を揺るがしかねない」(インベスコ・アセット・マネジメントの小沢大二取締役運用本部長)。世界の景気回復に期待していた株式市場を中国を巡る不透明感が覆っている。
日経平均の24日終値は5日続落の1万8540円と6カ月ぶりの安値となった。わずか4営業日で2000円超の下落となったきっかけが人民元の切り下げだ。元安誘導は景気対策が尽きた中国政府がやむなく実施したとの疑念が消えない。
大阪取引所の夜間取引で日経平均先物は一時、東京市場の現物株終値に比べ1380円安い1万7160円まで下げた。
欧州市場では独株式指数(DAX)が7日続落し一時8%安と下げ幅が広がった。仏CAC40も同9%安、ノルウェーのOBXも同8%安と全面安の様相だ。米国でもダウ工業株30種平均の下げ幅は一時1000ドル(7%)を突破。その後、下げ幅を急速に縮めるなど荒い値動きとなった。
中国の景気減速が波及しやすい新興国や資源国からは「足元でマネーの流出が加速している」(メリルリンチ日本証券の山田修輔チーフ日本為替ストラテジスト)。24日は南アフリカのランドが急落し、対ドルでの過去最安値を付けた。
日経平均の24日の下げ幅は2013年5月23日(1143円)以来の大きさ。当時のバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が量的緩和の縮小を示唆し、世界の株価が急落。新興国からはマネーが流出した。緩和で押し上げられた相場の「終わり」が警戒された。
今回の株安局面では、2年前と違って景気が低迷すると買われやすい先進国の国債に資金が流入している。24日のニューヨーク市場では株価急落で相対的に運用リスクの低い米国債に逃避マネーが集まった。早ければ9月とみられてきた米利上げに不透明感が漂い、長期金利の指標である米10年物国債利回りは急低下(価格は上昇)し、一時およそ4カ月ぶりに2%の節目を割り込んだ。