【ワシントン=川合智之】中国の習近平国家主席が今月下旬に訪米するのを控え、中国共産党の公安部門の責任者である孟建柱・中央政法委員会書記が習主席の特使として9~12日に訪米し、サイバーセキュリティーなどについて米政府高官らと協議した。中国が関与するサイバー攻撃について米側が懸念を伝えたとみられる。
米ホワイトハウスが発表した。ジョンソン国土安全保障長官やコミー米連邦捜査局(FBI)長官、ライス大統領補佐官(国家安全保障担当)らが孟氏と会談した。ライス氏は「率直でオープンな意見交換をした」としている。
オバマ米大統領は11日に中国が関与するサイバー攻撃は「容認できない」と述べ、米中首脳会談で懸念を伝える考えを表明している。中国が関与するとみられるサイバー攻撃で約2200万人の米連邦政府職員らの個人情報などが盗まれており「核心的な国家安全保障の危機だ」(オバマ氏)と警戒感を強めている。
米は6月の米中戦略・経済対話でも中国のサイバー攻撃について懸念を伝えたが、中国側は関与を認めなかった。オバマ氏は関係した団体・個人に対して経済制裁などを科し、中国政府に圧力を強める構えだ。