米国では、今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果と株式市場の前向きなムードを待って新規株式公開(IPO)に出ようとする企業が相当な数に達している。
指標を映すNASDAQのスクリーン=ロイター
今年の米IPO市場は活気に欠けるが、第4四半期が増勢になれば盛り返せる余地がある。年内上場の可能性がある企業には、今年最大規模のIPOにもなり得る電子決済サービスのファースト・データ、携帯通信のデジセル、食品スーパーのアルバートソンズ、高級車メーカーのフェラーリが含まれる。
「金利をめぐるメッセージと動きが市場に好感されれば、新規上場がかなり活発な時期になる可能性が高い」と、クレディ・スイスの株式資本市場部門グローバル責任者のデービッド・ハーマー氏は言う。
「市場が落ち着けば、第4四半期には7億5000万ドルから30億ドル規模の十数件のIPOが見込まれる」
調査会社ディーロジックのデータによると、米国の今年のIPOは近年の水準を下回り、現時点で135件、総額約270億ドルにとどまっている。通年で2010年以来の遅いペースで、このままでいくと14年を大きく下回る。
投資銀行筋は昨年が活況だったという部分もあるとみている。昨年は中国の電子商取引最大手、アリババ集団の史上最高のIPOもあり、IT(情報技術)バブル以降で最も高い水準となった。
「今年の第4四半期は、14年と比べて低調だった最初の8カ月の出遅れ分を取り戻す時期になりうる」と、UBSの米州株式資本市場担当副会長のフランク・マトゥーロ氏は言う。
■ハイテク企業のIPO少なく
ハイテク業界が私募による資金調達──魅力的な評価額での──に引き付けられていることで、特にハイテク企業のIPOが少なくなった。企業側は公開市場の外で何十億ドルも調達している。
今年のIPOはリターンも近年の水準を下回っている。今年の平均3カ月後リターンは11%で11年以来の低水準だ。フィットネス向けウエアラブル機器のフィットビットなど、注目度の高い一部企業は株価を大きく上げているが、手作り品のオンライン市場を運営するエッツィなど他の企業は株価を下げている。