2014年度に全国の小学校で起きた児童の暴力行為は前年度比572件増の1万1468件と4年連続で増え、過去最多を更新したことが16日、文部科学省の問題行動調査で分かった。中学校、高校はいずれも前年度より減少しており、同省は「早い段階から子供に寄り添った対応が重要だ」としている。
調査によると、中学校での暴力行為は3万5683件(4563件減)、高校は7091件(1112件減)。小中高全体では5103件減の5万4242件だった。
小学校での暴力行為の内訳は「児童間の暴力」が7113件で最も多く、「教師への暴力」が2151件、「器物損壊」が1997件で続いた。各地の教育委員会へのアンケートでは「教師が小1に何度も蹴られ、病院で受診した」「登校中に通行人から注意を受け、暴力をふるった」などの事例も寄せられたという。
小学校で増えた背景については「同じ学校で繰り返し暴力行為が発生したり、同じ児童が複数回暴力行為に及んだりする」「感情のコントロールがうまくできない児童が増え、ささいなことで暴力に至る」との回答があった。
加害児童数は小1が621人で、学年別の統計を始めた06年度に比べると約5倍に、小2は1017人で約4倍にそれぞれ増えた。小5は約3倍、小6で約2倍で、全学年が増加傾向の中でも特に低学年が目立つ。
同省の担当者は「中学や高校ではスクールカウンセラーや警察との連携が進んでいるが、小学校でも児童をケアする体制の整備を急ぐ必要がある」と話す。
病気や経済的な理由以外で年間30日以上欠席した「不登校」の小中学生12万2902人の状況も調べた。不登校のきっかけは「不安など情緒的混乱」が3万6603人で最も多く、「無気力」が3万1824人、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」が1万7813人で続いた。
調査では例年、いじめの認知件数も公表しているが、今回は10月下旬に公表する方針。13年度の調査で都道府県の1千人当たりの認知件数に最大83倍の開きがあったことなどを踏まえ、同省が14年度について異例の再調査を求めたため。