【NQNニューヨーク=神能淳志】16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸した。終値は前日比140ドル10セント(0.8%)高の1万6739ドル95セントと、8月20日以来およそ1カ月ぶりの高値を付けた。アジアや欧州など世界的な株高を背景に米株式にも連動した買いが入った。原油先物相場が上げ、エネルギー関連株が買われたことも相場を支えた。
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16日は中国・上海株が5%近く上昇するなど日本を含むアジア株が堅調に推移した。欧州主要国の株価指数も軒並み上げたため、投資家心理が改善。米株式相場の買いにつながった。
ニューヨーク原油先物相場は1バレル47ドル台と前日から5%超上昇した。業績改善への期待から、シェブロンやエクソンモービルなどの大手石油株が買われたこともダウ平均をけん引した。
17日には米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控え、投資家の様子見姿勢は強い。市場では利上げするかどうかの見方は分かれているが、取引終了にかけては持ち高調整とみられる買いも増え、ダウ平均はこの日の高値圏で終えた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も続伸し、前日比28.719ポイント(0.6%)高の4889.239で終えた。
業種別S&P500種株価指数は全10業種のうち9業種が上昇した。「エネルギー」の上昇率が最も大きかったほか「素材」や「一般消費財・サービス」なども上げた。一方で「電気通信サービス」が下落した。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約8億8000万株(速報値)、ナスダック市場は約16億3000万株(同)だった。
個別銘柄では産業用ロボットのアデプトテクノロジーが急騰した。日本のオムロンがおよそ2億ドル(約240億円)で買収すると発表し、買収価格にさや寄せする形で買いが膨らんだ。証券会社が目標株価を引き上げたスポーツ用品のナイキも買われたほか、ダウ平均の構成銘柄ではゼネラル・エレクトリック(GE)やコカ・コーラなども上昇した。
一方で、総合物流大手のフェデックスが安い。取引開始前に発表した四半期決算で1株利益が市場予想を下回り、通期の業績見通しを下方修正したことが嫌気された。運用会社TICCキャピタルに対して買収を提案したTPGスペシャルティ・レンディングも買収負担を警戒した売りが優勢となった。ダウ銘柄では通信のベライゾン・コミュニケーションズが売られた。