【NQNニューヨーク=神能淳志】21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発した。終値は前週末比125ドル61セント(0.8%)高の1万6510ドル19セントだった。中国・上海や欧州の株式相場の上昇を受け、米株式には目先の戻りを見込んだ買いが優勢だった。
朝方から買いが優勢だった。日本が休場のなか、アジアでは中国・上海株が2%近く上げた。欧州主要国の株価指数も総じて上げたため、投資家心理が改善。前週末にかけて下げが続いた米株式相場にも買い戻しが入り、ダウ平均は上げ幅を一時194ドルまで広げた。
午後に入ると、ダウ平均は横ばい圏まで伸び悩む場面があった。来年の米大統領選をにらんで、薬価引き下げへの警戒が浮上したメルクやファイザーなど製薬株が大きく下落し、ダウ平均を押し下げた。
米アトランタ連銀のロックハート総裁は21日の講演で、利上げ時期に関して「年内に動くのはまだ可能だ」と語った。前週末には米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策決定の投票権を持つ米サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁が年内利上げに言及。前週のFOMCで政策の現状維持に反対票を投じた米リッチモンド連銀のラッカー総裁も年内利上げを主張している。ただ、FOMC参加者の多くは年内の利上げを予測しているため、相場の反応は限られた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は小反発し、前週末比1.727ポイント(0.0%)高の4828.955で終えた。
業種別S&P500種株価指数は全10業種のうち9業種が上昇した。「金融」や「IT(情報技術)」が大きく上げたほか、「生活必需品」なども上昇した。一方で「ヘルスケア」が下落した。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約8億2000万株(速報値)、ナスダック市場は約19億6000万株(同)だった。
個別銘柄ではアップルが高い。スマートフォン(スマホ)「iPhone(アイフォーン)」の新モデル販売に併せて実施した基本ソフトの無料更新が過去最も速いペースで進んだと発表。一部報道で2019年にも自動車事業に参入すると伝わったこともあり、業績への期待から買いが優勢だった。欧州の半導体企業から買収を受け入れたと発表した米同業のアトメルが急伸したほか、ダウ平均の構成銘柄ではマイクロソフトや化学のデュポン、クレジットカードのビザも上昇した。
一方で、住宅建設大手のレナーが安い。取引開始前に発表した四半期決算では1株利益が市場予想上回って買いが先行したが、8月の米中古住宅販売件数が予想を下回って減少するなど先行きへの警戒も残り、利益確定の売りに押された。年末商戦に向けた臨時雇用の計画数が前年を下回った百貨店のメーシーズも業績への不透明感から売りが優勢だった。ダウ平均の構成銘柄では大手製薬株のほか、医薬品・日用品のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)も売りが優勢だった。