【NQNニューヨーク=古江敦子】21日のニューヨーク外国為替市場で円相場は下落し、前週末比55銭円安・ドル高の1ドル=120円50~60銭で取引を終えた。米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つ地区連銀総裁らが年内の利上げに前向きな姿勢を示したとの見方が広がり、円売り・ドル買いが優勢となった。
アトランタ連銀のロックハート総裁は21日、政策金利の引き上げ時期について「『今年後半』というフレーズは今でも有効だと確信している」と述べたと伝わった。前週17日のFOMCで金利据え置きに反対票を投じたリッチモンド連銀のラッカー総裁は19日、「米景気の堅調さは利上げを正当化するのに十分だ」と指摘。
サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁も米景気に強気な見通しを示した上で、FOMCでは「(利上げには)もう少しの忍耐が必要との立場を支持した」と述べたと伝わった。FOMC後に米連邦準備理事会(FRB)が米景気に配慮する「ハト派」色を強めたとの見方が広がっていたが、連銀総裁らの発言を受けて年内の米利上げが改めて意識された。
米長期金利が上昇し、日米金利差の拡大を見込んだ円売り・ドル買いを誘った。米株式相場の上昇も円の重荷だった。
8月の米中古住宅販売件数は前月から減った。ただ米住宅市場の改善基調は続いているとの見方が根強く、為替相場の反応は限られた。
円の安値は120円66銭、高値は120円25銭だった。
円は対ユーロで続伸し、前週末比70銭円高・ユーロ安の1ユーロ=134円85~95銭で取引を終えた。ユーロがドルに対して下落し、円に対してもユーロ売りが優勢となった。
ユーロは対ドルで続落。前週末比0.0115ドル安い1ユーロ=1.1185~95ドルで終えた。米地区連銀総裁らが年内の利上げに前向きな姿勢を示したとの見方がユーロ売り・ドル買いを促した。
欧州中央銀行(ECB)が量的金融緩和を拡大するとの観測が出てユーロ売りを誘った。ECBのプラート専務理事は21日、ユーロ圏の期待インフレ率を引き上げる手段はあると述べたと伝わった。前週末には同氏が「量的金融緩和の規模を拡大する準備がある」と述べたと報じられた。
20日投開票のギリシャ総選挙は、チプラス前首相率いる与党・急進左派連合(SYRIZA)が勝った。欧州連合(EU)などと財政緊縮を約束したチプラス氏の首相続投となったが、為替相場の反応は限られた。
ユーロの安値は1.1182ドル、高値は1.1255ドルだった。