日銀は30日に発表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で決定会合に参加する9人の政策委員それぞれの物価と成長率の見通しの分布を示したチャート図を初めて公表した。消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除くコア指数)上昇率の見通しは2016年度では、中央値が1.4%に対し最も低い委員が0.5%、最も高い委員が1.7%だった。
これまでは来年の金融政策決定会合から公表するとしていたが、さかのぼって比較できるように前倒しで明らかにした。分布では、それぞれの見通しについて「上振れリスクが大きい」か「下振れリスクが大きい」かもわかるようにした。
9人のうち、16年の物価見通しについて「上振れリスクが大きい」と判断した委員は1人、「下振れリスクが大きい」と判断した委員は4人、「リスクがおおむね上下にバランスしている」としたのが4人だった。17年度のCPIについては5人が下振れリスクを指摘した。4人は横ばいだった。
成長率についても下振れリスクを意識した委員が多かった。15年度の実質国内総生産(GDP)成長率の見通しは4人が下振れ、5人が「バランスしている」だった。16年度は2人が下振れ、1人が上振れ、6人が「バランスしている」だった。17年度は5人が下振れ、4人が「バランスしている」だった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕