さいたま市職員だった前沢史典さん(当時41)が2011年に自殺したのは職場のパワーハラスメントが原因だとして、両親が市に約8100万円の損害賠償を求めた訴訟で、さいたま地裁(志田原信三裁判長)は19日までに、市に約1300万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
判決によると、前沢さんは11年4月から市西部環境センターに勤務し、教育係としてペアを組んだ先輩職員から10月ごろまで暴力を振るわれるなどした。12月には病院で「重症のうつ状態で休職を要する」との診断書が出され、間もなく自宅で首をつって自殺した。
志田原裁判長は前沢さんの死後、脇腹のあざの写真がパソコンに保存されていたのが見つかったことなどから暴力行為があったと認定。上司は前沢さんから相談を受けても具体的な対応をせず、「パワハラの放置が心理的負担を過度に蓄積させることになった」として市側の安全配慮義務違反を指摘した。
前沢さんの父、岑夫さん(73)は判決を受けて「訴えが認められ、ほっとしている。こんなことを二度と繰り返さないでほしい」と話した。
さいたま市の清水勇人市長は「判決内容を精査し対応を検討する」とのコメントを出した。〔共同〕