金星探査機「あかつき」が7日午前、金星軌道投入に向けた再挑戦を始めた。軌道探しに取り組んだ宇宙航空研究開発機構(JAXA)主任研究員の広瀬史子さん(35)は「こんなに大変だとは思わなかった」と語る。
5年前の投入失敗は、広瀬さんが筑波宇宙センターからあかつきのプロジェクトチームがある相模原キャンパスに異動して数カ月後に起きた。それまで宇宙ごみの軌道決定などを専門としていたが、金星観測を可能にする新たな軌道探しに没頭した。
最初の検討では、どんなタイミングで軌道に入れても、すぐに探査機が金星に落下してしまう。2011年に結婚。「夫をそっちのけにしながら」寝ても覚めても軌道を考える日々を過ごし、2年半かけて答えを見つけた。13年には出産を経験して産休と育休に入ったが、14年に復帰し、今回の本番に間に合った。
機体の開発製造に関わったNECの大島武さんは「再投入は技術的には可能だ」としていたが、観測に適した軌道を見つけるのが難しかった。
5年間を「長かったけどあっという間でした」と振り返る広瀬さん。一度は失敗したあかつきだが、軌道投入への再挑戦にかかわったことは「またとない経験だった」と話している。〔共同〕