経済同友会は16日、企業の持続的成長のためのガバナンス強化に向け、企業と投資家の対話促進を求める提言をまとめた。同友会の「資本効率の最適化委員会」(委員長=志賀俊之・日産自動車副会長)が同日発表した「企業と投資家の対話促進に関する意見」は、対話促進に向けた課題について「情報開示および株主総会プロセスの目指すべき姿を定め、企業や投資家が従来の慣行にとらわれず改革を進めることが必要」だと指摘した。
提言では、内部統制やコンプライアンスの取り組み強化、制度の整理・統合による有用で効率的な情報開示、株主総会の日程分散化や検討期間拡大に向けた意識改革とスケジュール見直し――などを訴えた。制度の整理・統合を巡っては、四半期決算短信との内容と時期の重複から、四半期報告書の廃止による一本化と簡素化などを求めた。
同日、記者会見した志賀委員長は、委員会での議論が日本の自己資本利益率(ROE)が低い理由の分析から始まったと説明。日本企業は短期的な収益にとらわれ、不採算事業などへの対応ができないことから欧米に比べ利益が低くなっているとの見方を示した。その上で「もう少ししっかり企業と投資家が対話をして、短期的な収益を追いかけるのではなく中長期の戦略で議論できるような場が必要だ」と述べた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕