【広州=中村裕】中国不動産最大手の万科企業(広東省)に対し、同じ広東省の複合企業「宝能投資集団」が敵対的買収を仕掛けている。宝能はすでに万科の22.45%の株式を取得し、筆頭株主になった。万科は対抗姿勢を鮮明にし、このほど新株を発行する方針を打ち出した。2016年1月18日までに詳細計画を公表する。中国を代表する大手企業の経営権争いが今後、一段と白熱する可能性が出てきた。
宝能による株式の買い占めを受け、万科は18日午後から、香港証券取引所、深圳証券取引所での取引を停止した。新株発行の詳細な計画を発表するまで当面、両取引所での取引停止を継続する。
万科の14年12月期の売上高は約1380億元(約2兆5800億円)。経営トップの王石董事会主席は「宝能は信用に足りない。歓迎しない。買収資金の多くは短期の借り入れで、リスクが非常に高いやり方だ」と不快感を示している。万科の筆頭株主はもともと、15%超を握る中国国有の複合企業の華潤集団だった。
一方、宝能は不動産や物流など幅広く手掛け、買収を続けて急成長した民間複合企業。万科に対しても、傘下企業を通じ、7月から市場で株式を少しずつ買い増していた。不動産販売に強い万科の強力なブランドを狙った買収とみられる。