【ニューヨーク=高橋里奈】「シェラトン」などを展開する米ホテル大手のスターウッド・ホテルズ・アンド・リゾーツ・ワールドワイドは28日、中国の安邦保険集団が率いる企業連合が買収提案額を引き上げたと発表した。新たな買収額は140億ドル(約1兆6000億円)規模。米同業のマリオット・インターナショナルの買収提案に合意したばかりだが、中国勢が再び攻勢に出て買収合戦が過熱している。
スターウッドは高級ホテルを世界で展開している(米イリノイ州のウェスティン)=ロイター
安邦保険はスターウッド株を1株あたり82.75ドルで買収する案を新たに提示した。マリオットの直近の提案額はスターウッド株1株あたり現金21ドルとマリオットの0.8株を支払う内容で、1株あたりの支払額は79.53ドル相当だった。
スターウッドは2015年11月にマリオットによる総額122億ドルでの買収案に合意していたが、安邦保険が今年3月に132億ドルでの対抗案を提示。その後、マリオットが提案額を136億ドルに上積みしていた。
スターウッドは26日に始めた安邦保険などの企業連合との交渉で買収金額の再提示を受けたという。新たな提案額について、スターウッドの経営陣は「合理的にみて、より優れた提案になりそうだ」としたうえで「交渉の結果を慎重に検討する」としている。
スターウッドは「シェラトン」のほか「ウェスティン」などの高級ホテルを世界で展開している。マリオットとの合併が実現すれば世界最大のホテルチェーンが生まれる。安邦保険は14年にニューヨーク・マンハッタンの高級ホテル「ウォルドーフ・アストリア・ニューヨーク」を約19億ドルで買収するなど、ホテル業の世界展開に意欲を見せている。