化学及血清療法研究所(熊本市、化血研)が国の承認と異なる方法で血液製剤やワクチンを製造していた問題で、厚生労働省は8日午後、化血研に対し、医薬品医療機器法(旧薬事法)に基づき110日間の業務停止処分を出す。停止期間は過去最長。塩崎恭久厚労相は同日の閣議後記者会見で「処分期間中に体制を抜本的に見直してもらう」と述べた。
化学及血清療法研究所(熊本市)=共同
業務停止処分は今月中旬に発効する。化血研は処分期間中、医薬品の製造・販売はできない。本来は血液製剤やワクチンなど約30製品が対象だが、代替がきかない20製品以上は患者への影響が大きいため対象外とし出荷を認める。
国の検査をすり抜けるための隠蔽工作を組織的に長期間続けていた点などを重くみて、異例の厳しい処分が必要と判断した。塩崎厚労相は「本来なら直ちに製造販売許可を取り消すべき事案だが、化血研の製品には国民の健康に不可欠なものも含まれるので停止処分とする」と述べた。
化血研の第三者委員会が昨年12月に公表した報告書によると、1974年以降、血液が固まるのを防ぐ物質を添加するなど、12種類の血液製剤の31工程で未承認の方法を採っていた。95年ごろからは、国の定期検査で不正が発覚しないよう偽造書類を作成するなど隠蔽工作を組織的に繰り返していた。ワクチンも未承認の方法で製造していたが、国へ報告していなかった。
厚労省は昨年5月以降の立ち入り検査で、一連の不正や歴代理事長ら幹部が認識していたことも確認。国の承認と異なる製法による医薬品の製造・販売や、国への虚偽の報告を禁じる同法違反に当たり、行政処分では製造販売の許可取り消しに次いで重い、過去最長の業務停止処分が相当と判断した。
これまで同法に基づく業務停止処分で最長だったのは、抗がん剤との併用で死者が相次いだ抗ウイルス剤「ソリブジン」問題で、94年に製造元の日本商事(当時)に出した105日間。
厚労省は昨年12月、化血研に対し、製品の品質や安全性の確保、ガバナンス(企業統治)の抜本的見直しを求める行政指導を行っていた。