財務省が25日発表した2015年の貿易収支は2兆8322億円の赤字だった。原油価格の下落によって原油の輸入額が前の年から4割以上減少したことなどで、貿易赤字は過去最大だった14年(12兆8161億円)から約10兆円縮小した。貿易収支は東日本大震災のあった11年以降、5年連続で赤字になったが、赤字幅は徐々に縮小している。
大阪港の夢洲コンテナターミナル
15年通年の輸出額は3.5%増の75兆6316億円だった。輸出為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=121円00銭と前の年から14.9%の円安になり、円建ての輸出額を押し上げた。自動車輸出の伸びが目立った。ただ輸出数量指数で見ると1.0%減だった。輸入額は原油安によって8.7%減の78兆4637億円だった。リーマン・ショック後に大きく落ち込んだ09年以来、6年ぶりに減少した。一方、欧州連合(EU)諸国や中国からの輸入は遡れる1979年以降で最大になった。EUからは医薬品、中国からはスマートフォン(スマホ)の輸入が増えた。
同時に発表した12月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1402億円の黒字(前年同月は6656億円の赤字)だった。貿易黒字は2カ月ぶり。QUICKがまとめた民間予測の中央値は1100億円の黒字だった。輸出の減少率は12年9月以来、3年3カ月ぶりの大きさだった。半面、原油価格の大幅下落による輸入額の減少がより大きく、貿易収支は黒字化した。輸出額は前の年から8.0%減の6兆3376億円だった。米国向けの輸出が16カ月ぶりに減少した。原油安を受けて建設用・鉱山用機械などの落ち込みが大きかった。アジア向けの輸出も素材や電子部品などが落ち込んだ。輸入額は18.0%減の6兆1973億円だった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕