大阪府警の全65署のうち61署で、約4300事件の捜査書類や証拠品が本来の保管場所でない機械室などに放置されていたことが1日、府警への取材で分かった。放置された捜査書類などは計1万点を超えるとみられる。全ての事件で公訴時効が成立しており、書類や証拠品を検察庁に送致していなかった。証拠品などのずさんな管理体制が改めて問われそうだ。
証拠品などの大半は暴行や傷害といった事件に関わるもので、殺人などの重大事件は含まれないという。
府警刑事総務課は証拠品などが放置された理由について「捜査員の異動に伴う引き継ぎ漏れが多いとみられる。捜査を意図的に放置した事案は現時点では確認できない」としている。
府警によると、捜査書類や証拠品は保存簿を作成したうえ、倉庫などに保管しなければならない。しかし61署では、これらの書類や証拠品が段ボールなどに整理しないまま入れられた状態で、機械室や車庫などで見つかった。一部は保存簿に記載がなく、約30年前の事件のものもあった。
約1千事件は容疑者などの氏名が特定されており、加害者と被害者の間で示談が成立するなどして捜査を終えた事件も多かった。刑事訴訟法は、警察は捜査終了後に書類や証拠を検察庁に送致しなければならないと定めているが、適切に送致していなかった。
府警は放置が判明した証拠品などを順次送致しており、1日時点で約1700事件に関する約6300点を送致した。証拠品には被害者に返還するものも含まれており、返還の手続きも進める。
今回、証拠品などの放置が発覚した事件の中には、警察署で被害相談などを受けた際に作成する「犯罪事件受理簿」の記載がないものがあるという。受理簿の内容は警察庁に送信して犯罪統計に計上されるため、統計に影響する恐れもある。
府警は、2014年に羽曳野署で捜査書類などの放置が発覚したことを受け、全捜査部署を対象に調査を進めていた。府警は今春までに調査結果をまとめる方針という。