北朝鮮は15日午前5時30分ごろ、日本海沿いの江原道元山(カンウォンドウォンサン)付近から弾道ミサイル1発の発射に失敗した。韓国軍合同参謀本部が明らかにした。同本部は発射を試みた機体は中距離のムスダン(射程3千キロ)とみている。北朝鮮がムスダン発射を試みたのは初めてで、国際社会の強い反発を招きそうだ。
北朝鮮は最近、移動発射台に搭載したミサイルを日本海沿いに展開していた。発射した機体は爆発したか、ごく近距離に墜落した模様だ。展開したミサイルが複数との情報もあり、日米韓は追加の発射の可能性について警戒している。
ムスダンは旧ソ連の潜水艦搭載型弾道ミサイルを改造。これまで試射したことはないが、北朝鮮はイランを通じてデータを収集し、数十発を実戦配備しているとされる。
日米韓はムスダンについて、米軍基地があるグアムを狙ったミサイルとみている。米国は1月、グアムから核搭載可能な戦略爆撃機B52を韓国に派遣しており、軍事的に対抗する狙いもありそうだ。北朝鮮が米領土への脅威となる弾道ミサイルについて実戦形式で発射を試みたのは初めて。
北朝鮮は最近、米国に対話を促すメッセージを繰り返し流している。軍事関係筋はムスダン発射について「米に対する硬軟取り混ぜたメッセージの一つ」と語った。
15日は故金日成(キムイルソン)国家主席の生誕記念日。5月7日からは36年ぶりに労働党大会を開く予定で、日米韓は5回目の核実験実施の可能性についても警戒している。(ソウル=牧野愛博)