ロンドン五輪金メダリストを相手に善戦した水谷=AP
香港で開催中の卓球のリオデジャネイロ五輪アジア予選で日本勢は15日からの2次ステージ(S)を欠場し、出場権の確定は5月の世界ランク発表に持ち越された。男子の水谷隼(ビーコン・ラボ)、女子の石川佳純(全農)の両エースは成長した姿を見せた。
水谷は、14日の1次S準々決勝でロンドン五輪個人金メダルの張継科(中国)に敗れたものの、2ゲームを奪う善戦。中国勢に勝つために練習を重ねたサーブや、台上でのレシーブ力が向上し「相手の球に対応できていた」と振り返る。
石川は、1次Sで格下の選手を寄せつけずに決勝進出を決めた。サーブで崩してからの速攻が決まり、「先手先手の攻めができた」。アジア予選の前には男子選手を相手にラケットを振り込み、レシーブ力にも磨きがかかってきた。
課題はともに、心理面か。水谷は「中国選手だから、守っているだけでは勝てないという先入観があった」。石川は1次S決勝でロンドン五輪個人金メダルの李暁霞(中国)に完敗した一戦を振り返り、「対策を考えすぎて、頭でっかちになった」。五輪本番まで残り4カ月を切った中、個人では日本勢初となるメダルに向けて、さらなる成長を誓う。(前田大輔)
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〈アジア予選の方式〉 リオ五輪シングルスのアジア枠は男女11ずつ。予選はアジアを5地区に分けた1次ステージ(S、日本は東ブロック)で、まずそれぞれの地区の優勝者が代表に決定。1次S敗者が戦う2次Sで、残り6人の代表が決まる。ただし世界ランク上位選手は、今大会に出場さえすれば5月発表の世界ランクで救済されるため、日本や中国など有力国の選手は2次Sを欠場した。五輪のシングルスには各国・地域で男女2人ずつが出場でき、日本からは水谷隼(ビーコン・ラボ)、丹羽孝希(明大)、石川佳純(全農)、福原愛(ANA)が代表候補だ。