2位に浮上した重永亜斗夢
男子ゴルフの今季国内開幕戦、東建ホームメイトカップ(三重・東建多度CC名古屋 7081ヤード=パー71)は16日、第3ラウンドが行われ、昨年の賞金王の金庚泰(キムキョンテ、韓)が通算11アンダーで単独首位を守った。地震で大きな被害を受けた熊本市出身の重永亜斗夢(あとむ)がスコアを四つ伸ばして、6位から2位に浮上。熊本県益城町出身の永野竜太郎も2位を守った。片山晋呉が3位から12位に後退した。
■被災地の妻「義援金稼いできて」と発破
前日3オーバーと苦しんだ27歳の重永が、再び優勝争いに復活した。11番で10メートルほどのバーディーパットを決めて「流れに乗れた」。後半だけで4バーディーを奪い、2位に浮上した。
熊本市内で育ち、自宅は震度6弱を観測した熊本県菊陽町にある。妻と小さな娘2人は無事だったが、広場にとめた車内で生活している。不安と、そばにいられない無力感。電話口で妻に「帰りたい」と弱音を吐くと、「義援金を出せるくらい賞金稼いできてよ」と発破をかけられた。
昨季後半に変えたフォームの感覚がつかみきれず、「ショットの調子は本当に悪い」。それでも「ラッキーに助けられて、何とか踏ん張っている」。ツアー9年目での初勝利へ、正念場の最終日に挑む。
■永野、帽子に黒の喪章
重永と同郷、同い年の永野も2位を守った。16日未明の揺れで祖母、母と住む熊本市内のマンションの玄関が開かなくなり、近所の人たちにバールでこじ開けてもらったと知った。「心配。試合に集中しようと思うけど、(地震が)頭の片隅にある」。帽子に黒いリボンの喪章をつけた。「自分が頑張らないと。全力でプレーする」