妊娠後に業務軽減を求めたのに怠ったのはマタニティー・ハラスメントにあたるとして、北九州市小倉北区の介護職員、西原ゆかりさん(35)が、勤務する介護事業会社「ツクイ」(本社・横浜市)と元営業所長の女性に慰謝料など約500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、福岡地裁小倉支部であった。足立正佳裁判長は訴えの一部を認め、同社と元所長に35万円の支払いを命じた。
判決によると、西原さんは2009年から同区内の営業所に勤務し、13年に妊娠が判明。同社の対応で切迫早産になるなど精神的苦痛を受けたと主張した。足立裁判長は、西原さんが業務軽減を求めた13年9月の面談で、元所長が「妊婦として扱うつもりはない」などと発言したことについて「妊産婦労働者の人格権を害するもの」と労働基準法などへの違法性を認めた。
同社によると、女性が働きやすい職場作りを進める企業を東証などが選ぶ「なでしこ銘柄」に13年度に選定された。昨年9月現在で全従業員に占める女性の割合は75・9%。同社は「判決文を確認できていないのでコメントできない」としている。(小川裕介)