原田健汰さん(左)は避難所を離れる際、目に涙を浮かべ、大家の男性と握手を交わした=19日、熊本県南阿蘇村、広島敦史撮影
熊本地震で被災した熊本県南阿蘇村には、800人以上の大学生が暮らす「学生村」があった。地震で多くのアパートが倒壊し、学生たちは散り散りになった。それでも、地域ぐるみで学生生活を支えてくれた村に戻りたい、と願う学生がいる。
阿蘇山から連なる丘陵地にある同村河陽の黒川地区。東海大阿蘇キャンパスは、土砂災害で崩落した阿蘇大橋のすぐ近くにある。
「本震」に襲われた16日、キャンパスにある体育館は地区の避難所となり、500人近くの住民らが駆け込んだ。学生たちは食べ物を運んだり簡易トイレの設置を手伝ったりした。4年生の原田健汰さん(22)もその一人。「お世話になった人たちの力になりたい」。避難所が閉鎖された19日まで働いた。