(29日、ロッテ4―3日本ハム)
試合前、スコアボードの上で泳いでいた3匹のこいのぼりのうち2匹が強風で飛ばされた。最大風速13メートル。一塁側から左翼方向へ吹きすさぶ「難敵」にも、ロッテの涌井は動じなかった。
「これより強いのも経験がある。意識しすぎるとよくない」。打ち取ったはずの打球が風に乗って二塁打になることもあったが、直球は浮き上がるように伸びた。だから損でも得でもないと考えた。五回に逆転してもらうと、「流れを変えたくて力を入れた」。七回2死三塁では中島にファウル8本で粘られたが、最後は148キロで見逃し三振に退けた。
6試合に投げ、自身初の開幕5連勝。「ピンチの連続でも、風が強くても抑えるのがエース」とは伊東監督。在籍2年目の昨季の最多勝で、チーム内に絶対的な地位を築いた。清田が「ワク(涌井)の試合で打たないと何を言われるか分からない」と苦笑いするように、野手にも厳しいことが言える。一方で、23日のオリックス戦で救援に失敗し、自身の白星を消した西野には冗談を言って和ませた。