北朝鮮から逃れ、世界に散らばる脱北者の結束を訴える集会が29日、ソウルであった。日韓米英に住む脱北者約100人が参加した。8年前に日本に逃れた女性は、北朝鮮で受けた深刻な差別の実態を訴えた。
特集:脱北者の証言
女性の父母は、帰還事業で北朝鮮に渡った在日朝鮮人。北朝鮮で過ごした38年間は「帰国者」として差別の連続だったという。「初めての差別は幼稚園。友達と遊ぶことを許されなかった」と語った。現在、日本で人権問題に携わるため、法律を勉強しているという。
韓国統一省などによれば、韓国に住む脱北者は約2万9千人。第三国には3千人以上が住むとされる。韓国の統一研究院が最近発行した「北韓人権白書」によれば、脱北者をめぐる人身売買が頻発しているほか、北朝鮮が脱北者の家族を追放処分にするなど人権侵害が深刻化している。
一方、北朝鮮のウェブサイト「わが民族同士」は29日、この集会に触れて「米国と朴槿恵(パククネ)(韓国大統領)一味が醜悪な人間のくずを動員した」「我々に対する積極的な人権謀略攻勢」と非難した。(ソウル=牧野愛博)