一時収容施設で暮らす難民たち=4月29日午後、イタリア南部シチリア島ミネオ、矢木隆晴撮影
欧州を目指し海を渡る難民らが、危険な地中海ルートの密航に再び殺到している。転覆事故が相次ぎ、今年に入ってからの犠牲者はすでに約900人に達した。リビア沖で800人以上が死亡した事故から1年。欧州連合(EU)が難民への門戸を閉ざす中、悲劇が繰り返されている。
4月29日午後、エトナ火山を望むイタリア南部シチリア島カターニアの港に、ドイツ海軍の船が接岸した。白い防護服を着た乗組員がせわしなく動く中、疲れた表情の難民・移民らが順に上陸し、医療チェックの後、指紋登録のために並ぶ。ほぼ全員が黒人の若い男性だ。数時間の後、バスに乗り込み、50キロほど離れたシチリア島内陸部ミネオの収容施設に運ばれた。
この日上陸したのはサハラ砂漠以南のアフリカ出身者ら約350人。沿岸警備隊によると、同日から翌朝にかけてほかの4カ所でも約450人が救助されたが、別の1カ所ではボートが転覆。約70人が行方不明になっているという。地中海では4月中旬にも、リビア沖で密航船が転覆し、難民ら約500人が死亡した恐れがある。