日本銀行の黒田東彦総裁は2日、円高が進んでいることを受け、記者団に「2%の物価安定目標を達成するために必要であると判断すれば、ちゅうちょなく追加的な金融政策を講ずることに変わりはない」と述べた。アジア開発銀行(ADB)の総会に出席するため訪問中の独フランクフルト市内で語った。
東京円、106円台前半 1年6カ月ぶりの円高水準
2日の円相場は一時、1ドル=106円台前半と約1年半ぶりの水準に上昇。4月末の金融政策決定会合で追加緩和を見送ったことや、米国が外国為替報告書で日本などの為替政策を「監視する」と明記したことが影響しているとみられる。黒田総裁は「為替政策は財務省の所管なので、特別なコメントは差し控えたい」とした上で、「為替など市場の動向が経済、物価にどのような影響を与えるかということは、十分注視している」とも話した。(フランクフルト=奈良部健)