難民らが全員退去したギリシャ北部のイドメニ難民キャンプ=26日、山尾有紀恵撮影
ギリシャの当局は26日、隣国マケドニアとの国境沿いにあるギリシャ国内最大級の「イドメニ難民キャンプ」の撤去作業をほぼ完了し、難民らは全員退去した。難民ら約8500人がテントを張って国境が開くのを待っていたが、退去勧告を受け、半数近くが政府管理下の仮施設へバスで移動した。
キャンプは26日午後、報道陣に公開された。難民らの姿はすでになく、ベビーカーやテント、毛布など難民らが残していった持ち物が散乱し、作業員が片付けに追われていた。数カ月にわたり難民らが抗議のために占拠していた線路上のテントも撤去され、電車が通過した。作業のために動員された機動隊員700人との衝突はなかったという。
カティメリニ紙(電子版)などによると、作業が始まった24日から3日間で、計約3800人が南へ約80キロのテッサロニキ近郊に設置された政府管理下の複数の施設へ民族別に分けて収容された。施設は倉庫などの中にテントを張った簡易なもので、設備は十分ではない。難民らはギリシャで難民認定を申請するかを決めなければならない。シリア北部アインアルアラブ(クルド名コバニ)出身のジャミール・ムハンマドさん(20)は「配給の食べ物はパンばかり。ギリシャにいても仕事はない。ドイツに行きたい」と話した。