ブラジル保健省によると、今年1~4月下旬までにジカウイルス感染症(ジカ熱)に感染した疑いがある人が約12万人に達した。人口10万人あたりで58・8人の計算だ。妊婦が感染すると「小頭症」の子が生まれる恐れがあることに加え、目の病気との関連を指摘する研究結果を、ブラジルなどの研究チームが米眼科専門誌(電子版)で発表した。
特集:ジカ熱
ブラジルや米スタンフォード大の眼科医らは、ブラジル北部で昨年11~12月に生まれた小頭症の男児3人を調べた。いずれも網膜に出血があったり、異常な血管ができたりしていることを確認したという。みな母親が妊娠初期にジカ熱に感染したとみられている。
チームは、目の異常をウイルス自体が引き起こすものか、小頭症に付随するものかは未解明としつつ、「ジカ熱の流行地で生まれた小頭症の赤ちゃんには、網膜の検査もするべきだ」と求めている。
ブラジル国内で感染者が最も多いのは北東部バイーア州で約3万4千人。8月に五輪があるリオデジャネイロ州は、2番目に多い約3万2千人となっている。保健省によると、昨年10月以降に小頭症と確認されたのは1434人。3257人が小頭症の疑いがあるとして検査されている。
一方、世界保健機関(WHO)は5月28日までに、リオ五輪について「現時点での評価では、(五輪を)中止したり開催地を変更したりしても、ジカ熱の国際的な流行にはほとんど変化を与えない」との声明を発表。開催を容認する姿勢を示した。(田村剛=サンパウロ、下司佳代子)