死んだバロンを囲む警察官ら=3月23日、岐阜県土岐市
3月、愛知県瀬戸市の乗馬クラブを脱走したシマウマが近くのゴルフ場でおぼれ死んだ。まだ1歳。悲劇の背景を探ると、管理責任があいまいな動物取引の実態が見えてきた。
シマウマ捕獲、直後に死ぬ 死因は不明
「残念な結果だ。我々にも反省すべきところがある」
ゴルフ場から約200キロ離れた大阪市天王寺動物園の職員はそう話す。死んだのは、前日まで同園で飼育されていたオスのグラントシマウマだった。名前は「バロン」。同園で2014年6月19日に誕生。親子で飼育されてきたが、1歳を超え、「次の行き先」を探していた。
「オスは大きくなると父親と争うようになる。でもずっと別々に育てていくスペースは確保できない」と高見一利・動物園担当課長代理は話す。ほかの動物園に打診を続けたが、半年かかっても行き先が見つからなかったという。
最終的に運命が決まったのは今年2月1日。名古屋市中川区の動物商、坪井源幸(げんこう)氏と同園が「動物交換契約書」を締結、バロンは、同園が新たな展示動物として必要としていたメガネフクロウなど複数の動物と交換されることになった。坪井氏は、シマウマを求めていた愛知県尾張旭市の移動動物園を経営する男性にバロンを転売した。