講演するケイト・スワッファーさん=ブダペスト
認知症の人や家族、医療関係者らが集う国際会議が、4月下旬にハンガリーのブダペストで開かれました。4日間の会議日程の中で取材した参加者の思いや、各国の取り組みを報告します。
認知症ケア、心の内に目を向けて 国際会議で研究を紹介
認知症の国際会議
介護とわたしたち
■ケイト・スワッファーさんに聞く ハンガリーで国際会議
8年前に認知症を患ったオーストラリアのケイト・スワッファーさん(57)は、会期中に何度も登壇し、自身の経験を語った。認知症に対する理解を広げたいという思いを、インタビューで聞いた。
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《スワッファーさんが認知症と診断されたのは、2008年。その3年前に受けた脳の外科手術が原因だった》
手術を受けたのは、フルタイムで働きながら、長男と次男を育て、大学に再び通い始めたころ。自殺を予防するためのボランティア活動もしていて、すごく充実した日々を送っていました。でも、認知症と診断を受け、1カ月半ぐらいは泣き続けました。人生が変わってしまったと思ったからです。
《そんな考え方が前向きに変わるきっかけは、インターネットで見つけた、ある認知症の当事者の言葉だった》
(認知症患者たちをつなげる国際組織の立ち上げに携わり、昨年亡くなった)リチャード・テイラーさんです。彼は「私たちは勇敢であるべきだ」と言っていた。そして、認知症は勇気を与えてくれるとも。彼の言葉の数々が励みになりました。彼も私と同じ、(診断後は)3週間ほど泣き続けたそうです。
《認知症の症状は、日常の様々な場面で起きるという》