「海」チームが開発した「フォヤシステム」。箱の中で魚を撮影し、写真を顧客のスマートフォンに届けることができる=5月29日、宮城県女川町
高い情報技術(IT)を持つ人たちを全国から募り、東日本大震災の被災地の復興に役立つ仕組みを生み出してもらう。宮城県女川町でそんな取り組みが進められている。これまでのやり方とは違う新たな方法で町の再生をねらう。
特集:3.11震災・復興
大型連休終盤の5月7日、JR女川駅前の施設に全国から33人が集まった。大手企業のエンジニア、デザイナー、研究者、企業経営者など様々だ。「ハッカソン」と呼ばれる企画で、米検索大手グーグルなどが主催した。それぞれが自費で参加している。
参加者には「この町をどうおもしろくするか」という課題が与えられた。七つの班に分かれ、「海」「食」「山」「教育」「町」から一つのテーマを選ぶ。町を歩き、住民の声を聞き仕組みを作り出す。
「復興が進むなか、変化がすごく激しい。地図も3カ月で変わってしまう」「町民同士で復興の情報が共有できていない」
そんな町の人たちの声を聞き、自分たちにできることは何かを1泊2日で議論した。中には夜通しで意見をたたかわせるチームもあった。翌8日夕、連絡先を交換して解散。普段の仕事の合間にSNSなどで連絡を取りあい、3週間かけて新たなツールを開発した。
「海」チームは、「フォヤシステム」を作った。サンマなど町特産の水産物の新鮮さを産地から世界中に直接伝え、高値で買ってもらうことを想定した仕組みだ。「海外の顧客が増えている」「顧客ごとにそれぞれ情報提供するのが大変。時間もかかる」。そんな漁業関係者の声に応えた。