浦安市と順天堂大医学部付属浦安病院は16日、20代後半の女性の卵子を将来の出産に備え、5月に凍結保存したと発表した。少子化対策の一環として、昨夏から市の公費助成で共同研究を始めて以来、初の事例。この女性以外に11人が採卵などの準備をしているという。
卵子凍結保存に助成、少子化対策になる? 浦安市の試み
病院によると、凍結済みの女性を含む計12人のうち既婚者は2人。希望理由の3分の2は「健康不安」。子宮内膜症を患ったり、夫が病気で体外受精に取り組めなかったりしたのが主な理由。残りの3分の1は、体外受精で苦労している40代女性から勧められるなど「社会性」が理由だった。
市は、昨年度から浦安病院に年3千万円、計3年助成する。市内の20~34歳の女性が対象で、卵子の使用は45歳まで。卵子凍結のため、必須にしたセミナーを昨年7月から開催。今年5月までに43人が参加し、平均年齢は34・3歳だった。
卵子の凍結保存は、がんの治療などの影響で妊娠・出産ができなくなる恐れがある女性にとって、一つの選択肢となっている。健康な女性が将来に備え、若いうちに実施する例もある。自治体が補助金を出し、支援するのは全国でも珍しく、一定のリスクがある高齢出産につながりかねないなどとして、専門家の間でも慎重な見方がある。