討論会の冒頭、壇上で握手する各党の党首。左から新党改革の荒井広幸代表、生活の党と山本太郎となかまたちの小沢一郎代表、おおさか維新の会の片山虎之助共同代表、公明党の山口那津男代表、自民党の安倍晋三総裁、民進党の岡田克也代表、共産党の志位和夫委員長、社民党の吉田忠智党首、日本のこころを大切にする党の中山恭子代表=21日午後、東京都千代田区、越田省吾撮影
選挙権年齢が18歳以上になって初めての国政選挙となる参院選が22日公示され、7月10日の投開票に向けた選挙戦が始まる。これに先立ち、日本記者クラブ主催の与野党9党による党首討論会が21日、東京都内で開かれた。安倍晋三首相(自民党総裁)は憲法改正の国会発議に必要な3分の2の勢力を、参院選後の衆参憲法審査会の議論を通じて形成したいとの考えを表明。政権の経済政策アベノミクスや社会保障政策でも論戦が交わされた。
特集:2016参院選
首相は討論会で、憲法改正について「(参院選で)争点にしないとは言っていない」としつつ、「条文をどう変えていくか決めるのは選挙ではなく国民投票だ。大切なことは憲法審査会で逐条的な議論を冷静に行って集約し、国民投票で問うことだ」と語った。
首相は早ければ秋の臨時国会にも衆参憲法審査会を再始動させる構えで、民進党など野党とも話し合う必要性を認めた上で、「憲法審査会でお互い議論しながら、3分の2を構成するよう努力していく」と主張した。
これに対し、民進党の岡田克也代表は「首相は立憲主義に対する認識が全く間違っているのではないか。権力を縛るのが基本的に憲法の役割だと認識しているのかどうか疑わしい」と語り、安倍政権下で憲法改正の議論を進めることに慎重な考えを示した。共産党の志位和夫委員長も「安倍政権による憲法改定に反対する」と述べた。
また、政権が掲げるアベノミクスについて、生活の党と山本太郎となかまたちの小沢一郎代表は「アベノミクスのアクセルを踏むほど格差は広がり、国民の生活は厳しくなっていくのではないか」と批判。おおさか維新の会の片山虎之助共同代表は「税と社会保障の一体改革は、消費増税の再延期で事実上破綻(はたん)したのではないか」と指摘した。
首相は、消費増税で予定していた年金の受給資格を得るのに必要な加入期間を25年から10年に短縮する無年金者の救済策について、「アベノミクスの果実を使って、今後の予算編成の中で最大限努力したい」と語り、優先的に取り組む考えを示した。
参院選の目標議席について、首相は自らが掲げた「与党で改選議席の過半数(61議席)」を割り込んだ場合、「責任を伴うのは当然のことだ」と述べた。一方、民進党の岡田氏は、与党を61議席以下に追い込めなかった場合について「私の出処進退は私が決める。この選挙にすべての責任を負う」と語った。