昨年の総選挙後に連立交渉が行き詰まったスペインで26日、やり直し総選挙が投開票された。欧州連合(EU)が課す緊縮財政に異を唱え、躍進するとみられていた左派新党ポデモスは伸び悩み、第3党にとどまった。英国のEU離脱で世界経済が混乱するなか、「安定」を訴えた国民党(中道右派)政権が巻き返した。焦点は再び連立交渉に移る。
EUに異を唱える「ポデモス」に勢い スペイン総選挙
スペインの総選挙は52の選挙区による比例代表制。内務省によると、下院350議席のうち国民党が137議席と前回から14議席上積みした。格差の広がりを問題視し、将来不安を抱える若者らの運動を母体にしたポデモス(私たちはできる、の意)は、少数の左派政党と共通の比例名簿で臨んだが、前回より2議席増の71議席だった。
一方、5議席減らしながらも中道左派の社会労働党が85議席で第2党の座を守った。中道の新党「シウダダノス(市民党)」は8議席減の32議席だった。
緊縮財政でユーロ危機を乗り切った国民党政権は、英国のEU離脱で市場が荒れた24日、「こんな時だから安定が必要だ」と訴えた。27日未明、ラホイ首相はマドリード市内で支持者の前に姿を見せて勝利宣言。ポデモスを意識したかのように、「国民は穏健な道を選んだ」と語ったうえで、新政権づくりの連立交渉を主導すると表明した。