オバマ米大統領が「核先制不使用」の宣言を含めた核軍縮策を検討していると、米紙ワシントン・ポストが12日までに報じた。来年1月の任期末までに大統領令などで大胆な核軍縮・不拡散の方針を打ち出すことを模索しているという。
核なき世界 模索の8年
核といのちを考える
ワシントン・ポストによると、オバマ政権幹部が核政策の見直しについて協議。核先制使用戦略を見直し、「核先制不使用」の宣言や、国連安保理での核実験禁止決議に向けた働きかけなどを検討しているという。抑止力維持の立場から共和党などが反発するのは必至だが、こうした措置は大統領権限で推し進められるという。
このほか、軍拡を招くと指摘されている、新型の核巡航ミサイルなどの核兵器近代化計画についても見直しを検討しているという。
オバマ氏は大統領就任直後の2009年のプラハ演説で「核なき世界」を訴えてノーベル平和賞を受賞。今年5月には現職の米大統領として初めて被爆地・広島を訪問し、「米国のように核を保有する国々は、恐怖の論理にとらわれず、核兵器なき世界を追求する勇気を持たなければならない」と訴えた。
ただ、クリミア半島を併合したロシアとの関係悪化で核軍縮は足踏みしている。大統領任期中に、自らの「レガシー(遺産)」として核軍縮に道筋をつけたいとの思いが透けるが、米国内での反発も予想され、実現するかは不透明だ。(ホノルル=佐藤武嗣)