深夜番組「11PM」で司会を務める大橋巨泉さん=1970年、日本テレビのスタジオ
12日に亡くなったテレビの名司会者、大橋巨泉さんは常識を覆すテーマを娯楽番組に持ち込んだ骨太な改革者だった。軽妙なポップワードも心をとらえた。独自性にこだわり、フロンティア精神で作り続けた番組は文化になり、常に時代を反映していた。
特集:大橋巨泉さん死去
■元「11PM」ディレクター・神戸文彦さん(75)
放送作家でもあったから、映る側なのに、映す側のことも知っていた。そして、とても台本を大事にした。放送作家出身のタレントは、自分で番組を構成できるから、台本の内容を崩す人も多い。しかし、巨泉さんはアドリブを入れつつも、基本的に台本に忠実。その上で、各ディレクターの好みにも合わせてくれた。
とにかく幅広い人だった。教育問題を取り上げた翌週にストリッパーの特集も組んだ。各ディレクターの個性を認め、それぞれの特徴が出ていたからこそ、毎晩見ても違う番組になっていた。
怖い面もあった。勉強家で博識なので、うそはすぐに見破られ、企画を説明できないと相手にされない。一方で、こちらの懸命さが伝わると、台本を完璧に覚えてくれ、内容を重んじてくれた。
巨泉さんの時代を先取りする精神で、「11PM」は、最後には「文化だ」とまでいわれた。まさにテレビの文化を作った人だった。(聞き手・真田香菜子)
《評伝》 「11PM」や「ク…
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