阪急梅田駅のエスカレーター(1967年10月撮影)。両側立ちのようだが、この時点で「左側を空けるように」というアナウンスも行われていた
東京は右を空け、大阪は左を空ける。エスカレーターに乗るときの東西の習慣の違いはしばしば話題になるが、片側空けそのものは、いつごろ始まり定着したのだろうか。
海外では、ロンドンの地下鉄で第2次世界大戦後に左空けで始まったと言われている。実ははっきりした証拠はないようだが1980年代の朝日新聞をめくってみると、ロンドンの地下鉄で見られる習慣の素晴らしさを絶賛し、翻って日本では…と嘆く記事がいくつも見つかる。
「日本の都市でのふしぎな光景は、すいているエスカレーターでもほとんどが歩かぬことだ。(中略)一種の『こっけいな日本風俗』の一つであろう」(83年11月28日付)
「片側一列に立って、急いで昇降する人たちのために、かたわらを空けておく、英国などでみられるマナーは日本でもまねたいもののひとつだ」(86年8月5日付夕刊)
80年代の日本ではどうやら片…