開会式で先導する東稜の山門憲司さん(左)と始球式で投手を務める阿蘇中央の倉岡真聖さん=熊本市中央区
第98回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高野連主催)の開会式の先導役と始球式の投手を、熊本地震で被災した熊本県の高校で主将としてチームを率いた球児2人が務める。29日、主催者が発表した。
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東稜高校の山門(やまかど)憲司さん(3年)が開会式で先導し、阿蘇中央高校の倉岡真聖(まさきよ)さん(同)が始球式で投げる。熊本大会に出た63チームの主将が書いた地震の被害状況や、チームや地域への思いなどを踏まえ、県高野連が推薦した。
東稜(熊本市東区)は、2度の震度7に見舞われた同県益城(ましき)町との境にある。部員63人のほとんどが一時は車中泊を余儀なくされ、7人は自宅が全半壊。だが1カ月後には練習を再開した。「熊本は元気にがんばっているんだぞ、ということを全国に届けたい」。山門さんはそんな思いを込めて行進する。
阿蘇市の阿蘇中央も1カ月近く練習できず、倉岡さんも2週間ほど車中泊や避難所生活を経験した。「阿蘇に元気を与える!」をテーマに大会に臨んだが2回戦敗退。自身は肩を痛めてマウンドに上がれず、遊撃手で出場したが「悔いが残った」。倉岡さんは「とんでもないサプライズを頂いた。阿蘇、そして熊本に元気を与える一球にしたい」と話す。
開幕日に益城町立益城中学校の野球部員18人をバックネット裏の「ドリームシート」に招待することも発表された。(大森浩志郎)