会見に臨むメルケル首相。難民受け入れについて「私たちの歴史的な使命である」と理解を求めた=7月28日、ベルリン、高野弦撮影
ドイツのメルケル首相が苦境に立たされている。28日の会見で、難民の受け入れ継続を表明したものの、100万人超を受け入れた昨年の歓迎ムードは一変。難民の犯行とされる相次ぐ事件を背景に、ドイツ社会はいらだちを強めている。
「国境を制御せずに無制限に開いていたのは歴史的な過ちだ」「首相はもっと明確で信じられるようなメッセージを送るべきだった」。南部バイエルン州政府のマルクス・ゼーダー財務相は29日、容赦なく批判した。同州では今月18日、17歳のアフガニスタン難民の少年がおので列車の乗客らを襲い、5人に大けがをさせて射殺された。24日にはシリア人の難民申請者が自爆事件を起こした。
メルケル氏は夏休みを中断して行った28日の会見で、難民の受け入れについて「歴史的な挑戦だが、われわれなら成し遂げられる」と理解を求めた。同時に今後の対策として、テロの際に軍隊の出動を可能にしたり、罪を犯した難民の強制送還を容易にしたりする考えを表明した。
だが、危機にさらされる現場か…