夏の高校野球 49代表決まる
選抜大会に出場した32校のうち、夏の甲子園に戻ってきたのは13校。8強入りでは3校だ。上位進出に関係なく、半数以上が地方大会で姿を消した。春夏連続出場はやはり難しい。
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選抜準優勝の高松商は、香川大会決勝で敗れた。牽引(けんいん)したエース浦が故障で、打線がそれまで全てコールド勝ちと奮起してきたが、決勝で相手投手を打ちあぐねた。
一方、優勝した智弁学園(奈良)は苦しみながら甲子園をつかんだ。本調子でなかったエース村上を、5試合で33得点の打線が支えた。選抜4強の秀岳館(熊本)も、エース格の堀江に代わって複数の投手の継投で勝ち上がった。強打に加え、5試合で31盗塁の機動力も示した。
春夏5度の甲子園優勝を果たした横浜の渡辺元智・前監督は「春の山と夏の山はまったく別物」と話す。各校に研究される中で新たに引き出しをつくり、武器を磨いたチームが甲子園に戻ってきた。
目に付いたのは、1年生の活躍。横浜(神奈川)は特大の本塁打を放った万波や斉藤。近江の4番北村は1試合7打点で、滋賀大会記録に並んだ。創志学園(岡山)の捕手藤原は冷静なリードで本格派右腕高田を引っ張った。2年後の100回大会で主力を担う存在。成長が楽しみだ。
残念なこともあった。佐賀など3大会で9人ぎりぎりで出場したチームの中に熱中症と見られる選手が出たため、試合を続けることができなくなった。控え選手のいないチームには、周囲が気を配る必要がある。埼玉大会ではグラウンド整備のタイミングを2度に増やし、休養と水分補給の時間に充てている。他大会でも参考になる話だ。
初出場は創部3年目のクラーク国際(北北海道)など昨年から2校増えて9校。聖光学院(福島)は10年連続で戦後最長記録を更新。明徳義塾(高知)は7年連続、作新学院(栃木)は6年連続。一方で市尼崎(兵庫)は33年ぶり、長崎商は29年ぶりの夏だ。新鋭、常連、懐かしい顔。49代表の戦いが7日から始まる。(有田憲一)