県庁の講堂で開かれた新憲法案についての意見交換フォーラム。来場者が少なく、後方はがらがらだった=1日午後、タイ東北部ウドンタニ県、大野良祐撮影
2年前のクーデター後、軍事独裁体制下にあるタイで7日、民政復帰に向けて新憲法案の是非を問う国民投票が実施される。民主主義に逆行する内容を含む憲法案には批判もある。だが、賛否の意見表明は封じられ、憲法案文は一部の世帯にしか配布されず、国民の理解は深まっていない。
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「では、質問がある方はどうぞ」。タイ東北部ウドンタニ。1日、県として最初で最後の憲法案に関する意見交換フォーラムが開かれた。司会者の呼びかけに唯一応じたのは最前列にいた女性だったが、質問ではなく、憲法案を賛美する自作の詩を朗読し始めた。
県庁の担当幹部が憲法案を説明し、パネリストの地元の学者や元国会議員らが壇上で意見を述べた後、聴衆と質疑応答をするという形式。だが、来場者は役人や県と関係の深い財団の職員、大学から参加を指示された学生たちなどで、用意された約500席は半分ほどしか埋まらなかった。
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