先発で登板、力投する木更津総合の早川君=13日、阪神甲子園球場、金居達朗撮影
(13日、高校野球 木更津総合2―0唐津商)
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木更津総合(千葉)のエース、早川隆久君(3年)が「あの1球」を取り戻しに甲子園に戻ってきた。13日、唐津商(佐賀)を相手に被安打2、12奪三振で完封勝利。相手打線に二塁を踏ませなかった。
今春の選抜の準々決勝、早川投手は強打の秀岳館(熊本)を八回まで無失点に抑えていた。1点リードで迎えた九回2死三塁、相手打者を3ボール2ストライクと追い込み、渾身(こんしん)の直球を内角低めに投げた。「見逃し三振でゲームセット」かと思ったが、主審の手は上がらずに四球。その後に連打を浴びて逆転され、サヨナラ負けした。
「間違いなくあの試合のベストボール。だが負けは負け。投手の責任です」と話し、甲子園を後にした。
「悔しさを取り戻しに夏も必ず甲子園に行く」。そう誓いを立てた。寮のベッド脇の壁に、サヨナラ打を打たれて打球を見つめる写真の載った新聞記事を貼り、嫌でも目に入るようにした。秀岳館戦のビデオを週に最低一度は見返した。
コースぎりぎりで審判が自然に手を上げてしまうような球を投げたい。ストライクゾーンの低めいっぱいとボール一つ分上に2本の糸を張り、そこに球が入るように練習した。新たにスローカーブを習得し、夏に向けた連投も考え、打たせて取る投球も意識。打者の手元で動くツーシームを磨いた。
五島卓道監督は「自分で課題を見つけ解決できる頭のいい選手」と話す。
甲子園初戦では、伸びのある直球にスライダー、ツーシームを絡ませて唐津商打線を翻弄(ほんろう)。九回、最後の打者は外角低めの直球を見逃し三振。磨いてきたぎりぎりいっぱいのコースだった。「春からやってきたことの成長を実感できた」
次は大会第11日第3試合。秀岳館との対戦は、互いに勝ち進めば準々決勝以降になる。「秀岳館とやりたい。先を見すぎるのはよくないけど、それまで負けられません」(野村陽彦)