むのたけじさんと親交の深かった人たちは、突然の訃報(ふほう)に驚きつつ、遺志を継いでいく決意を新たにした。
むのたけじさん死去 101歳のジャーナリスト
むのさん、反戦への思い貫く 憲法改正派にも耳傾ける
作家の落合恵子さん(71)は主宰する子どもの本専門店「クレヨンハウス」でむのさんに何度か講演してもらった。講演に基づいて「人類の新しい夜明けを―原発と戦争、大人の責任から考える―」も刊行した。
「反戦・反核・反差別について、力強く訴えてきた大きな存在。あの終戦から負った責任を果たすことをミッションとして、100歳を超えてからも活動を続けてこられた」
むのさんの「奇跡は望むものではない。ほしいと望むものを自分たちが自らつくるものだ。それを求めるなら、まずあきらめること自体をあきらめることだ」「どんな時でも希望は、絶望のど真ん中にある」という言葉が心に残っているという。「しっかりと受け継いでいきたい」
今年の憲法記念日に、都内の集会のゲストスピーカーにむのさんを呼んだのは、ルポライターの鎌田慧さん(78)だった。2002年に出版した「反骨のジャーナリスト」(岩波新書)でむのさんを取り上げて以来、親交を続けてきた。
集会で、車いす姿のむのさんは、マイクを握ると興奮し、右手をぐるぐる回し始めた。80代のころから変わらない姿だ。「力を振り絞って話してくれた。平和への気迫が伝わってきた。最後までジャーナリストを貫いた人だった」と惜しんだ。