四回のピンチにマウンドに集まる北海の選手たち=21日、阪神甲子園球場、内田光撮影
(21日、高校野球決勝 作新学院7―1北海)
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北海の大西が四回につかまった。先頭を2球で追い込みながら四球を選ばれたのを機に、攻め込まれる。適時打を浴びて3点目を失ったところで、降板した。
生命線の外角を突く配球を見極められた。「低めのスライダーのベストボールも振らなかった。本当に強い。相手が上でした」。準決勝まで1人で投げ抜いてきたエースは、潔かった。
北海は基本に忠実。その姿勢を貫いた。攻めては、バントの構えを繰り返して揺さぶる。二回は犠打で二塁に走者を進め、バットを短く持った9番鈴木が左前適時打。守備でも、七回に6点差をつけられた後、中前に抜けそうな打球を二塁・菅野が好捕して併殺に。集中力を切らさなかった。
昨夏の甲子園は開幕試合で大敗。大西も救援で1死も取れなかった。暑さに苦しんだ昨夏の反省から、出場決定後はストーブをたいた屋内で練習。甲子園では攻撃時にベンチの最前列で声援を送るのではなく、冷風が出る最後列で体力回復に努めるなど選手は決めごとを徹底してきた。
「みんなが頑張ってきた証しが、この決勝」と大西。一つ一つ積み上げてきた伝統校らしさを随所に見せた北海が、今夏は一番最後に甲子園を去った。(上山浩也)
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●平川監督(北) 「今井君がすばらしかった。バスターで球の軌道を見極めようとしたけど、中盤はスライダーとカットボールに歯が立たなかった」
●鈴木(北) 唯一の適時打を放った2年生。「球が速いのでコンパクトに振ろうと思っていた。これを自信にして、来年また甲子園に戻ってきたい」
●佐藤大(北) 2年生捕手。「大西さんは頑張ってくれた。いつもなら打たれないようなコースも、はじき返された。相手の打者が上だった」