国連は30日、シリア内戦で、アサド政権が塩素ガスと見られる有毒ガスを、過激派組織「イスラム国」(IS)がマスタードガスを、それぞれ使用したとの調査報告書を発表した。これを受け、国連安全保障理事会で一部の国からシリアへの制裁を求める声が出るが、アサド政権を支えるロシアは報告書に疑念を示し、安保理協議の難航は必至だ。
シリアで化学兵器を使った攻撃があったことから、安保理は昨年8月、使用者を特定する調査機関を全会一致で設置。シリア情勢をめぐって対立の深い米ロも一致した。これに従い、国連と化学兵器禁止機関(OPCW)が設けた調査機関が関与した個人や団体の特定を進めてきた。
報告書は、アサド政権については、2014年4月と15年3月、シリア北西部イドリブ県で政府軍ヘリが投下した装置から「毒物」が放出されたと結論づける十分な情報がある、とした。15年3月の事件については「毒物は塩素ガスの特徴と一致」と記した。
ISについては、15年8月に…